かんたんな答え
認知症のある方の介護はたいへんなことで、ご自身を大切にすることも介護の一部です。疲れ切る、いら立つ、眠れない、友人から距離を置くといった警告サインに気をつけましょう。具体的な手助けを頼み、レスパイトケア(一時的な休息)を利用し、家族会に参加しましょう。日本では、お住まいの地域の地域包括支援センターやケアマネジャーが、介護の相談先になります。米国には、米国アルツハイマー病協会の24時間ヘルプライン(1-800-272-3900)やエルダーケア・ロケーター(1-800-677-1116)といった無料の窓口があります。
- 燃え尽きは、疲れ切る、いら立つ、眠れない、気分が沈む、自分の健康管理を後回しにするといった形で現れることがよくあります。
- レスパイトケアは、数時間から数週間まで、自宅や施設で休息をとるための介護の一時的な代わりです。
- 具体的な作業を決めて助けを頼みましょう。手伝いたくても、どうすればよいかわからない人は多いものです。
- 地域包括支援センターは、お住まいの地域の介護の相談窓口です。ケアマネジャーや市区町村の介護保険の窓口も頼りになります。
- 家族会や認知症カフェでは、同じ立場の人と話すことができます。
- つらくて追いつめられていると感じたら、いのちの電話などの電話相談を利用してください。緊急のときは119番に連絡しましょう。
このページの内容(9項目)
認知症のある方を介護しているなら、きっと夜遅く、疲れた状態で、まだやれていないことのリストを抱えながら、このページを読んでいることでしょう。それは当たり前のことです。ご自身を大切にすることは、ぜいたくでも、すべてを終えたごほうびでもありません。介護を続けていくために必要なことです。
このページでは、燃え尽きの警告サイン、本当の休息のとり方、支援の探し方、そして今日かけられる、米国の無料ヘルプラインを紹介します。
介護者の燃え尽きのサインには何がありますか?
燃え尽きはゆっくり忍び寄ることが多いので、ご自身の警告サインを知っておくと役立ちます。米国国立老化研究所(NIA)は、介護者のストレスのサインとして、次のようなものを挙げています。
- 疲れ切っている、圧倒される、不安を感じる。
- すぐに怒ったり、いら立ったりする。
- 孤独を感じる、人とのつながりが途切れたと感じる。
- 眠れない、睡眠が足りない。
- 悲しい、絶望的だと感じる、以前楽しんでいたことに興味を失う。
- 頭痛、体の痛みなど、体調の不調が多い。
- 運動したり、自分のために健康的な食事を作ったりする時間がない。
- 入浴などの身だしなみを省いてしまう。
- 処方薬を含め、アルコールや薬物を不適切に使う。
米国アルツハイマー病協会は、これに加えて、病気を受け入れられない、ご本人への怒り(「わざと頑固にしている」)、将来への不安、集中できない、健康の問題が負担になっている、といったサインを挙げています。こうしたサインが続くときは、医師に相談するよう勧めています。
NIAは、完全に圧倒されるまで待たないようにとしています。早めにサインに気づき、対処しましょう。
今日、5分でできることは?
小さな休憩にも意味があります。燃え尽きを解決するものではありませんが、つらい午後を乗り切る助けになるかもしれません。
- 外に出る。 ご本人が安全で落ち着いているあいだに、玄関先に座ったり、郵便受けまで歩いたりしましょう。
- ゆっくり呼吸する。 むずかしい問いかけに答える前に、ゆっくりと数回呼吸しましょう。介護している方とゆったり呼吸のひとときをいっしょにとることもできます。
- 水を飲んで、何か食べる。 自分の食事は忘れがちです。
- 友人に一通メッセージを送る。 何かをお願いするためではなく、ただつながるために。
- 自分にやさしい言葉をかける。 NIAのご自身をいたわるためのガイドは、「自分なりにせいいっぱいやっている」「完璧でなくていい」「いっしょに穏やかに過ごせる時間を大切にしよう」といった言葉を挙げています。
レスパイトケアとは何で、どうすれば利用できますか?
レスパイトケアとは、介護者が休めるように、介護している方のケアを一時的に代わってもらうことです。NIAのレスパイトケアのページは、数時間から数週間まで続けることができ、自宅、医療施設、デイサービスセンターなどで行われると説明しています。
米国アルツハイマー病協会は、よくある種類を次のように紹介しています。
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 自宅での手助け | 友人、親族、ボランティア、または有償の付き添いや介護スタッフが自宅に来る |
| デイサービス | 音楽や美術などの計画された活動を、安全な集団の場で行う。送迎や食事が提供されることも多い |
| 宿泊・短期入所 | 長期ケアの施設が、一晩、数日、数週間、ご本人のケアをする |
費用は誰が負担しますか? NIAによると、家族、友人、ボランティアによるレスパイトは無料のこともあります。専門のサービスは、時間単位または日単位で料金がかかります。ホスピスケアを受けている方については、メディケア(米国の公的医療保険)が、病院や専門看護施設での最長5日間の連続したレスパイトの費用の大部分を負担します。メディケイドが助けになる場合もあります。民間の医療保険の多くはレスパイトを対象としていませんが、一部の長期介護保険は対象としています。日本では、介護保険の認定を受けている場合に、デイサービスやショートステイ(短期入所)を利用できることがあります。費用や条件は、地域包括支援センターやケアマネジャーに確認しましょう。
ヒント: 米国アルツハイマー病協会は、急に助けが必要になったときのために、緊急でないうちにレスパイトの提供者を試しておくことを勧めています。
お住まいの地域で支援を探すには?
まず、お住まいの地域の地域包括支援センターに相談してみましょう。介護の相談窓口で、介護保険のサービスや、デイサービス、ショートステイ、地域の家族会などについて尋ねられます。すでにケアマネジャーがついている場合は、そのケアマネジャーにも相談できます。市区町村の介護保険の窓口でも案内してもらえます。
米国には、地域の支援につなげてくれる無料のサービスがいくつかあります。参考としてご紹介します。
- 米国アルツハイマー病協会の24時間ヘルプライン:1-800-272-3900。ヘルプラインは無料で秘密が守られ、年中無休で24時間対応しており、バイリンガルのスタッフや通訳を通じて200を超える言語で利用できます。リレーサービスは711にかけます。行動の変化、介護のストレス、レスパイトの選択肢、地域のプログラムなどについて話すことができ、ケア相談員とのより長い面談を頼むこともできます。スタッフは医学的な助言はしません。
- エルダーケア・ロケーター:1-800-677-1116。エルダーケア・ロケーターは、米国地域生活局(Administration for Community Living)による公共サービスで、高齢者とその家族のためのサービスにつなげてくれます。研修を受けたスタッフに、電話、テキストメッセージ、オンラインチャット、メールで連絡でき、場所から検索することもできます。地域の高齢者支援機関(Area Agency on Aging)も紹介してもらえます。
- ARCH 全米レスパイト検索サービス。ARCH のレスパイト検索では、州ごとにレスパイトの提供者を探せます。州にレスパイト連合や Lifespan Respite プログラムがある場合は、まずそこに連絡することを勧めています。ARCH は提供者の確認はしていないため、経験や経歴はご自身で確かめるよう注意を促しています。
家族会(サポートグループ)を探すには?
お住まいの地域の地域包括支援センターに尋ねるか、インターネットで近くの会を探してみましょう。日本では、認知症の人と家族の会などの家族会や、認知症カフェで、同じ立場の人と話すことができます。
米国では、米国アルツハイマー病協会が、介護者や認知症のある方のためのサポートグループを運営しています。対面でもオンラインでも行われ、研修を受けた進行役が担当します。多くの地域で、成人の介護者向けや、若年性・早期のアルツハイマー型認知症のある方向けなど、特別なグループもあります。介護者が助言を分かち合う無料のオンラインコミュニティ「ALZConnected」も運営しています。
サポートグループは、批判されずに気持ちを吐き出せる場であり、経験者から実用的なコツを教わったり、ひとりではないと感じたりできる場でもあります。最初の会が合わなければ、別の会を試してみましょう。
家族や友人に助けを頼むには?
具体的に頼みましょう。手伝いたくても、何を申し出ればよいかわからない人は多いものです。NIAは次のことを勧めています。
- 他の人に任せられる作業のリストを作り、 選んでもらう。
- 頼みにくいときは、小さなことから始める。
- 作業を人に合わせる。 料理好きのいとこには木曜日の夕食を、書類に強い近所の人には手続きの手伝いを。
- 直接頼みにくければ、メッセージやメールで伝える。
- 申し出てもらったときの返事を練習しておく。「聞いてくれてありがとう。こんなことをお願いできると助かります」。
- 断られることもあると心得て、 個人的に受け止めすぎない。
ほかにも、週に一度の午後だけご本人のそばにいてもらう、短い外出に連れ出してもらう、訪ねてきていっしょにゲームをしてもらう、といった方法があります。いっしょにゲームを楽しむコツのガイドは、訪問する方に共有しやすい内容です。
もし自分に何かあったら?
今のうちに、かんたんなバックアップの計画を立てましょう。NIAは、家族や親しい友人と、誰が代わりに入るかを決めておくこと、緊急連絡先、薬、うまくいく対応のコツ、好きな活動を書いたノートを作っておくことを勧めています。米国アルツハイマー病協会も、ご本人の医療の連絡先と最新の薬のリストをすぐ見つかる場所に置くよう勧めています。
専門家や緊急の助けが必要なのは、どんなときですか?
ストレスのサインが続くとき、気分が落ち込んでいるとき、対処がむずかしいときは、医師に相談しましょう。介護者であることも医師に伝えてください。NIAは、カウンセラーやソーシャルワーカーが、つらい気持ちや計画づくりを手伝えること、メディケア、メディケイド、一部の民間保険が、メンタルヘルスの費用の一部を対象とする場合があることを述べています。
追いつめられていると感じるとき、自分を傷つける考えがあるときは、日本ではいのちの電話やよりそいホットラインなどの無料の電話相談を利用してください。米国では、988に電話またはテキストメッセージを送ると、24時間無料の988 自殺・危機ライフラインにつながります。誰かに差し迫った危険があるときは、119番に連絡してください。
いっしょに楽しむ活動は、自分の休息にもなりますか?
なることがあります。ふたりで楽しめる穏やかな活動は、介護している方だけでなく、ご自身にとっても、1日のやさしい時間になります。昔の歌を聴く、写真を見る、正解のいらない会話カードのようなゲームをするなどです。ご本人が人との時間を楽しむ方なら、高齢者センターやデイサービスでの絵ビンゴのグループ活動が、ご自身の1時間の休息になることもあります。ヒントは介護施設のグループ活動もご覧ください。
よくある質問
介護者の燃え尽きのサインには何がありますか?
よくあるサインには、疲れ切っている、圧倒される、不安になる、すぐに怒ったりいら立ったりする、眠れない、悲しい、絶望的だと感じる、友人から距離を置く、頭痛や体の痛みが多い、自分の食事や運動、受診を後回しにする、などがあります。こうしたサインが続くときは、医師に相談しましょう。
近くでレスパイトケアを探すには、どうすればいいですか?
まず、お住まいの地域の地域包括支援センターや、担当のケアマネジャーに相談しましょう。ショートステイ(短期入所)やデイサービスなどが選択肢になります。米国では、エルダーケア・ロケーター(1-800-677-1116 または eldercare.acl.gov)で地域の高齢者支援機関につながるほか、ARCH 全米レスパイト検索サービスや、米国アルツハイマー病協会のヘルプライン(1-800-272-3900)も利用できます。家族、友人、ボランティアが休息の手助けをしてくれることもあります。
レスパイトケアの費用は公的な制度で支払われますか?
日本では、介護保険の認定を受けている場合に、ショートステイやデイサービスを利用できることがあります。費用や条件は、地域包括支援センターやケアマネジャーに確認しましょう。米国の例では、米国国立老化研究所によると、ホスピスケアを受けている方については、メディケアが病院や専門看護施設での最長5日間の連続したレスパイトケアの費用の大部分を負担します。民間の医療保険の多くはレスパイトケアを対象とせず、メディケイドや一部の長期介護保険が助けになる場合があります。
認知症の相談窓口は、夜間も無料で利用できますか?
窓口によって異なりますので、お住まいの地域の地域包括支援センターや、認知症の人と家族の会などの電話相談の受付時間を確認しましょう。米国の例では、米国アルツハイマー病協会は、ヘルプライン(1-800-272-3900)は無料で秘密が守られ、年中無休で24時間対応しており、多くの言語で利用できるとしています。リレーサービスは711にかけます。
介護を休むのは、わがままではないですか?
わがままではありません。休息は、介護を続ける力になります。レスパイトは、介護を受ける方にとっても、いつもと違う相手や活動に触れる機会になることがあります。多くの介護者が、もっと早く助けを求めればよかったと、あとで話します。
出典
このページの根拠となる団体や研究へのリンクを掲載しています。いずれもページを更新した時点で確認しています。
- Taking Care of Yourself: Tips for Caregivers · National Institute on Aging
- Alzheimer's Caregiving: Caring for Yourself · National Institute on Aging
- What Is Respite Care? · National Institute on Aging
- Caregiver Stress · Alzheimer's Association
- Free 24/7 Alzheimer's & Dementia Helpline · Alzheimer's Association
- Respite Care · Alzheimer's Association
- Support Groups · Alzheimer's Association
- Eldercare Locator · Administration for Community Living
- Find a Respite Provider · ARCH National Respite Network and Resource Center
- 988 Lifeline · 988 Suicide & Crisis Lifeline